黒川塾三十九「誰にでもわかる!エンタメ的人工知能(AI)考察」開催
2016年8月23日、「誰にでもわかる!エンタメ的人工知能(AI)考察」をテーマに、第39回目の黒川塾が開催されました。
黒川塾はメディアコンテンツ研究家の黒川文雄さんが主宰し、今年で4周年を迎えました。この日も黒川さんがモデレーターを務め、松原仁さん(はこだて未来大学教授)、 伊藤毅志さん(電気通信大学助教)、 三宅陽一郎さん(ゲームAI開発者)が登壇し、人工知能の持つ強みと弱点、エンタメカテゴリーでのビジネス応用などの可能性や方向性について説明されました。
各自の自己紹介から始まり、三宅さんが影響を受けたという松原さんの書籍「人工知能になぜ哲学が必要か―フレーム問題の発端と展開」(絶版)の紹介から、人工知能における重要な難問の一つであるフレーム問題や、Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムのAlphaGoの話など、人工知能による密な会話が展開されました。松原さんは「人工知能は、研究者が100人いれば100通りの考えがあり、定義が難しい」と説明し、さらに「現在はディープラーニングではないものはAIとは呼べない風潮がある」と語り、以前はかな漢字変換もAIと呼ばれていた例を紹介するなど、人工知能について説明をしました。伊藤さんはAlphaGoに関して「囲碁しか出来ない」と説明し、19×19の碁盤でのみ力を発揮し、違うことが起きたらとたんに対応できない性質を語り、現段階では人工知能が臨機応変できないことを説明しました。
勉強会はフレーム問題から始まり、コンピューター将棋プログラムのBonanza(ボナンザ)や、2006年に起きたモンテカルロ法の囲碁への応用、そして現在のAlphaGoなど、将棋や囲碁におけるコンピューターの歴史から、ガルリ・カスパロフとディープブルーの対局や、ニコニコ動画の将棋電王トーナメントでも知られるコンピューター将棋ソフトのPonanza(ポナンザ)などが紹介されました。
終盤ではヴァーナー・ヴィンジとレイ・カーツワイルによって提唱されたシンギュラリティについて語られ、3名は「囲碁、将棋に関してはシンギュラリティは訪れている」と解説。また、伊藤さんは東大が開発した「勝率100%のじゃんけんロボット(人間機械協調システムの実現)」を例に出し、「今後ものすごいAIが出てきた時に、人間がゲームで勝てなくなり、全てのゲームがつまらなくなる」と話し、松原さんも「フィンテックもゲームと同じで、正当性を保つのであれば、ルールを変えないと人間が不利になる」と解説し、様々な面においてのシンギュラリティについて解説しました。
黒川塾は、音楽、映画、ゲーム、ネット、ITなど、すべてのエンタテインメントの原点を見つめなおし、来るべき未来へのエンタテインメントのあるべき姿をポジティブに考える会として今後も開催されます。
黒川文雄さんTwitter
https://twitter.com/ku6kawa230